ようこそ片隅へ・・・ ここは、文学の周縁と周辺を徘徊する場所。読書の記録と、文芸同人誌の編集雑記など。

2011年3月22日

入手本

大層ひさしぶりに、自宅に帰ってみれば、案の定、地震の影響が出ていた。
といっても、例えばなにかが倒れていた、といったことはなく、崩壊したのは、本棚の上から落ちていたスピーカーと、やはり本棚の上に積み上げていて、散乱したCDのケースがいくばくか。
すなわち、地震災害でこうむった影響とは、それら、本棚の上から飛び散ったものども。

聞くところによると、ギチギチに詰め込まれた本棚は、その重さやそれぞれの本の振動が影響するのか、比較的に隙間の多い本棚などより倒壊率が低いとは聞いていたが、なるほど、そのとおりだった。

で、家に帰ると、郵便受けは溢れかえり、玄関が郵便物だらけ。
その中には、文芸思潮から、関東同人雑誌交流会のお誘いと、さらにはそこが開催するなんちゃら賞候補作のコピーなどもあった。ちなみに、「銀座線」からも候補に選ばれていた。

そして、下の二誌もまた届いていたのだった。

「照葉樹」は、ついに10号。
とはいえ、発行日を見ると2月15日となっているから、もう一ヶ月以上もたっているわけで、それだけ放置していた私ったら・・・。ほんとうにごめんなさい。

「出現」は、第2号。
今号から、招待席というコーナーを設け、同人にこだわらない編集に向かっている様子。
「編集室」という編集後記のような場所に、編集発行人様が下の文章を書いている。
▼創刊前から考えていて実現できませんでしたが、今号から「招待席」という名でゲストの作品を掲載する場所を設けました。第1回は第52回H氏賞受賞詩人である松尾真由美さんに、そのブログ内で展開されている「掌編的詩文実験室」から最新の「残酷な反復としどけない渇きを」を転載させていただきました。詩と散文がせめぎあいクロス・オーバーして新たな表現に向かおうとしている作品です。
 風通しの良い雑誌をめざしてこういう企画を立てました。2頁もしくは4頁という狭い場所ですが、掌編小説、詩、エッセイ、その他形式は自由ですので、この枠内に収まる作品の寄稿を今後も伝手をたどってお願いしていきたいと考えています。
とのこと。
弊誌のように、同人をゼミ参加者に限定する風通しの悪さを託つ同人誌もあれば、こうして、同人という枠さえ超えていくそれもあり、"同人誌"という言葉も不要なのかもしれない。そう、「出現」誌は、正確には「文芸誌 出現」なのだ。同人誌ではなく、文芸誌なのだ。
ちなみに、上に引用した部分に続く文章は、おそらくこの大震災以前に書かれたはずだが、この大震災のことを言っているように読めてしまうのが、今の状況なのだろうなぁ、とも思ってしまった。見えるものが大きく変わったことで、すくなからず、見え方までが変化してしまう。これは文学だろう。
それなら、やはり文学は、この震災を無視できない。無視できないけれど、では、現在の文学、言葉は、それをいかに書くのだろう?


ところで、昨未明、私の父が亡くなったのであります。一応、報告。

2 件のコメント:

  1. お悔やみ申しあげます。
    体調を崩されないようにくれぐれもお気をつけ下さい。

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  2. ありがとうございます。
    一ヶ月ほど前に病院に運ばれたときに、覚悟をしろと言われていたので、来るべきときが来た、ということなのですが、覚悟とは、準備のことでもあったか、と今さらながら、バタバタしております。
    ともあれ、お心遣いに感謝です。

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